生薬の種類と特徴 その2

 

カッコン (葛根)

 

 

「萩の花,尾花葛花,なでしこの花,女郎花,また藤袴,あさがほの花」(ヤマハギ,ススキ,クズ,カワラナデシコ,オミナエシ,フジバカマ,キキョウ)これは,山上憶良によって,万葉集に詠まれている秋の七草である.

 

春の七草が食用にされる野草や野菜で有るのに対して,秋の七草は,秋の野の花を代表する野草木が選ばれているが,これらがすべて薬用植物であることは大変興味深い.

 

和名の「クズ」は,昔,大和(奈良県)の国栖(くず)地方の人が,この植物の根から精製した澱粉を売り歩いていたことから名付けられたと言われ,その後漢名の葛が当てられるようになったものと考えられる.

 

 

ケイヒ (桂皮)

 

 

古代バビロニアのシュメール地方では,楔形(くさびがた)文字で書かれた粘土板が出土したり,古代エジプトの古文書にもその名が記されていたりすることから,古来より,医薬品や香辛料として世界各地で消費されていたと思われる.

 

日本へは8世紀頃,中国から遣唐使によりもたらされたものが,正倉院において桂心という名前で収蔵されている.

 

 

サイコ (柴胡)

 

 

江戸時代,全国的に生産されるようになったサイコは,静岡県三島が良質な柴胡の大集荷地であったため,ミシマサイコと呼ばれるようになった.近年になって野生のミシマサイコはほとんど消滅し,今日ではもっぱら栽培品が主である.

 

 

サンヤク (山薬)

 

 

イモ類は,普通は生で食べることが少ないが,その中で特に生食用として好まれるのがヤマノイモとナガイモで,とろろ汁,山かけ,和え物などとして家庭でもよく食べられる.

 

そのうえ,栄養が豊富で,しかも消化酵素のジアスターゼを多く含むので消化吸収もよく,また,古くから「山のうなぎ」と言われるほど精力がつくことで知られている.
和名のヤマノイモ(山の芋)は,古い時代に渡来したサトイモ(里芋)に対して付けられたもので,山薬は,山にできる薬という意味である.

 

また自然に生えることから自然生(じねんじょう)・自然薯(ジネンジョ)とも呼ばれる.

 

 

シャクヤク (芍薬)

 

 

「立てば芍薬,座れば牡丹」とは,花の美しさに擬えたばかりでなく,芍薬や牡丹を薬として服用すれば,女性ホルモン分泌を整え,肌も美しく艶やかになるということが秘められている.

 

その花の様子や美しさが「?約」(姿がしなやかで美しいの意)としている.つまり,きわめて美しく麗しいことからきた名称である.

 

 

センキュウ (川きゅう)

 

 

中国四川省が原産と推定されるが,わが国でも江戸時代の寛永年代以後,栽培される.本格的には明治の中期,北海道に始まり現在も大量に栽培されている.

 

中国の古典(「神農本草経」など)には,きゅうきゅう(キュウキュウ)と書かれているが,四川省産のものが良品とされたため,川きゅうという呼び名が生じたといわれている.この川きゅうに使われている「きゅう」や「きゅう」の字は,葉柄が弓状に曲がった様を表すものと考えられている.

 

 

ソウジュツ (蒼朮)

 

 

蒼朮は,ホソバオケラとシナオケラ又はそれらの雑種の根茎とされている.ホソバオケラは中国原産の多年生草本で,中国より江戸時代の享保年間に種苗が渡来し,特に佐渡島で盛んに栽培されたことから,一名「サドオケラ」の名称があるが,現在,日本での生産はほとんどない.

 

 

トウキ (当帰)

 

 

冷え性、月経不順、貧血を主訴とする婦人病などに用いられる。根を薬用とする。