乙字湯
特徴と効能
痔は滞ってしまった「血(けつ)」、すなわち「お血(おけつ)」が肛門にある状態と考えます。「お血」ができる原因はさまざまですが、冷えや便秘などが原因となります。
「血(けつ)」の流れを良くしてうっ血をとることで腫れを抑え、傷の治りも早めます。また、便の通りを良くして、排便時の痛みや圧迫をやわらげるとともに、筋肉の緊張を高めて、中の痔が出てこないようにします。
成分
柴胡”、“黄ごん”、“大黄”、“甘草”などは、炎症をしずめ痛みをやわらげる働きをします。“大黄”には、便通をつける作用もあります。
また、“当帰”には補血作用があり、“升麻”は痔核や脱肛によいといわれます。これらがいっしょに働くことで、よりよい効果を発揮します。
- 柴胡(サイコ)
- 黄ごん(オウゴン)
- 当帰(トウキ)
- 升麻( ショウマ)
- 大黄(ダイオウ)
- 甘草(カンゾウ)
対象者
- 中くらいの体力の人であまり症状がひどくない切れ痔、いぼ痔などの痔の人
適応証(体質)は、実〜中間証(比較的体力充実)
注意点
他の漢方薬と併用する場合は、大黄の重複に注意します。また、芍薬甘草湯など甘草を含む他の漢方薬といっしょに飲むときは、「偽アルドステロン症」の副作用に注意が必要です。
間質性肺炎と肝障害が報告されています。万一のことですが、咳や息切れ、呼吸困難、発熱、ひどい倦怠感、皮膚や白目が黄色くなる、といった症状に注意し、そのような場合はすぐ医師に連絡してください。